「何か問題が起きたとき、原因はどこにあると考えますか?」
そう言われて、目の前に事象に注意を奪われる人は多いです。
例えば、食器を落として割った人がいるとします。
原因は何でしょうか。
「その人が不注意だった」
「食器が滑りやすかった」
「冬場で手が冷たくなって、思うように動かせなかった」
こんな感じの回答が多いのではないでしょうか。
でも本当の原因は、
「食器が脆かった」
「床が硬かった」
「地球に重力があったから」
なんて要素の方が大きかったりします。
今回はこうした目先の事象にとらわれる事を避け、全体を把握して適切な親切を行う方法を考えます。
全体を把握していないと起きる問題
目の前で起きたことに反応することの何がダメなのか。
ここでは全体を把握しないことで起きる問題についてご説明します。
別の問題が発生する
一つの問題を解決しても、それが別の問題を引き起こすことがあります。
例えば、
・遅刻が多い生徒に注意をしたところ、遅刻は治ったが授業中の居眠りが増えた
・貯金を増やそうと節約生活を始めたが、ストレスで衝動買いをしてしまった
・仕事のミス防止に何度も確認作業をしたら、仕事が間に合わずクレームになった
のようなことです。
最初に起きた問題だけにとらわれて対策を打つとこうした事態に陥りやすくなります。
何度も問題を繰り返す
根本的な原因に対策をしないと、何度も問題が繰り返されます。
根本的ではない対策の例として、
・「気をつける」「意識する」などの注意力で何とかしようとする
・「頑張る」「もっとやる」などの行動量を増やすことで解決しようとする
・「反省する」「真面目にやる」など人格を否定し変えることで改善しようとする
などが実行されたり検討されたりしがちです。
いずれも一時的には効果があるものの、根本的な問題を解決に至ることはほとんどありません。
より大きな問題に気づけない
目の前のことだけ検討すると、全体に及ぶような大きな問題に気づきにくくなります。
例えば仕事でミスがあった場合に、ミスを起こした人だけに注目してしまう場合。
本来であれば以下の要素についても検討が必要です。
・使っていた道具や機械
・仕事のやり方
・周囲の影響
全体を把握するためにできること
目の前の事象にとらわれることで起きる問題に対して、どう対応すれば良いのでしょうか。
ここでは全体を把握するために、できることについてご説明します。
目標によって範囲を変える
まずは目標を決めます。
そしてその目標に合わせて把握する範囲を変えて、検討する範囲を限定していくのです。
これを実行しないと検討する範囲が際限なく広がっていきます。
複数の情報源を当たる
情報源が一つしかなければ、視野が狭まって当然です。
当事者以外の人も含め、複数の情報源に当たってみましょう。
この時に意外と参考になるのが、問題とは全く関係がないと思われる人です。
第三者の視点で冷静な意見を教えてくれたり、実は過去に同じような問題に取り組んでいたりすることがあります。
時系列を整理する
原因と結果を明確にするためには、順番の把握が必要です。
一つの事象はいくつもの出来事の連なりから起きています。
時系列を整理することで、より根本的な原因が見えてくるでしょう。
情報の更新を行う
情報は「一度チェックしたらそれで確定」ということはありません。
特に人の記憶は揺れやすいので、その時々の感情で判断が変わってくる可能性があります。
また過去に他人が言った内容が誤っていることもあります。
問題が起きると早め早めに解決しようとして、こうした情報の更新が疎かになりがちです。
誤った情報をもとに判断をしたら、対策は全く効果を期待できないどころか、かえって有害なものになるでしょう。
一番脆い部分をケアする
何もかもフォローするのは難しい相談です。
リソースには限界があります。
現実的な路線は、一番問題を引き起こしやすい部分、問題に対して脆い部分をケアすることでしょう。
そのケアこそが親切を行うべき最重要ポイントです。
瑣末な問題に手を取られることなく、本当に重要な問題だけに集中する。
あるいは相手が問題に集中できるように手助けする。
問題の当事者が自分で立ち直れるように、環境を整えること。
それが親切な人に求められる役割です。
注意点
目標が適切か検証する
根本的な原因を探ろうとすると、どうしても目標が大きくなりがちです。
論理的に正しいことと、実際にできるかどうかは別の問題になります。
目標が自分の能力や投入できるリソースと比較して適切かどうか検証してみましょう。
過保護・過干渉にならないようにする
他人の問題解決はできません。
困りごとを助けてあげることはできます。
しかし困りごとが起きる原因までどうにかすることは難しいことがほとんどです。
問題を解決するのはあくまで本人。
周囲はそれを助けるだけ。
過保護や過干渉にならないように、基準を決めて行動しましょう。
まとめ
・問題の原因は目の前にないことが多い
・複数の方法で視野を広げて、問題全体の確認が大切
・問題解決をするのはあくまで当事者本人。周囲は親切でサポートを!
ではまた!
コメント