「人に親切をしたいと思う」と「本当に親切をすること」は混同しやすいので対策をしよう

ガムを踏んづけてしまった人の足元

「何かをするためには最後までやり抜く信念が大切である」

「大きな仕事を成功させるには熱意が必要だ」

このように思いの大切さを説く言論は世の中にたくさんあります。

もちろん思いは大切です。

しかし思いは行動と同じではありません。

思いがあっても、行動につながるとは限らないのです。

これは親切を行う時も全く同じことが言えます。

今回は「親切をしたいという思い」と「本当に親切をする行動」を見ながら、この二つを混同することによってどのようなことが起きるのか、考えます。

この記事はこんな人にオススメです

・良い親切を行うためには、心から親切をしたいと思えることが必要だ

・心がなければ行動も良いものにはならない

目次

なぜ混同してしまうのか

それにしてもなぜ親切にしたいと思っているだけでは、人に親切をすることができないのでしょうか。

ここでは「親切にしたい」という思いと「親切にする」という行動について考えます。

思いは意識しやすい

当たり前のことに感じるかもしれませんが、思いは意識しやすいです。

特に何もしていなくても、ぼーっとしているだけでふっと考えが浮かんできます。

嘘だと思ったら、試しに1分間何も考えずに過ごしてみてください。

ほとんどの方は、

「あれ、そういえばあの事どうなったかな」

「これが終わったら、あれやっておかなきゃ」

「何も考えないなんて楽勝」

みたいなことを考えてしまったのではないでしょうか。

フラットな状態でこの有様です。

親切にしようとした時に、どれだけの思いが自分の頭を占拠するか、想像に難くありません。

行動はわかりにくい

一方で行動はとてもわかりにくいです。

無意識のうちにやっている行動はもちろんのこと、意識的にやっていると考えている行動でさえもきちんと意識はされていません。

例えば私はこの文章をキーボードを使って打っています。

試しに表現すると以下のような感じです。

左の人差し指が動いて「R」というキーを1.7mm押して、次に右の中指が「 I」というキーを押そうとして間違えて「K」を押してしまったので、慌てて右の小指で「Back」を押して・・・

でも画面を見ながら打っているので、実際に指がどのように動いているかを把握することがとても難しいです。

自分の体感としては「キーボードで文章を打っている」というだけです。

指がどうとか、位置がどうとか、押す力がどうとか、一切わかりません。

思いから行動へ

思いも行動も独立したものではありません。

お互いに影響しあって発生したり増減したりします。

問題なのは思いから行動へ進んだ場合です。

思いが強すぎて、よくわからないまま行動をとってしまう可能性が高まります。

思っていることが、そのまま自分が行なっていることと同じである、と錯覚を起こしてしまうのです。

どうしたら混同を防げるか

ではどうしたらそうした混同や錯覚を防げるのでしょうか。

前提:防ぐのは困難

前提として、思いと行動の混同を完全に防ぐのは非常に困難です。

なぜなら日常の中で、思いと行動が一致している場面も多く存在するからです。

例えば、

・歯を磨こうと思って、洗面所で歯ブラシを使う

・おしっこをしようと思って、トイレに行って用を足す

・何か温かいものを飲もうと思って、お湯を沸かして急須でお茶を淹れる

など私たちはよく「思って、行動」しています。

そして何も不都合は起きていません。

では歯磨きと親切を分けているものは何なのでしょうか。

もっとも大きな要因は「再現できるかどうか」です。

日常のことは大体が再現性高く、毎日ほとんど同じことができています。

一方で親切は個別性が高く、同じことをやってもうまく行くとは限りません。

これが単なる「思って、行動」することがうまくいかない原因であり、さらにその原因は「思い」と「行動」が混同されやすいからなのです。

自分が何を考えているか意識する

とはいえ対策はあります。

まずは自分が何を考えているか意識することです。

人間は多面的です。

様々な自分を意識し、自分を見ている自分に気付きましょう。

一つの自分の意見に振り回されることなく、その意見を冷静に見つめる自分を意識することができれば、全く違う選択肢を取ることも可能になります。

行動を具体的に考える

次に自分がこれから取る行動を具体的に考えてみましょう。

親切をしたいという思いが湧きあがったあと、自分がこれからどんな親切を行うか、よくよく見直すのです。

行動を事前に検討することは、以下のような望ましい効果をもたらします。

・自分が落ち着く時間を稼げる

・検討することで、見積もりの精度が上がる

・リソースが有効に使え、より効果的な親切を行いやすくなる

では具体的に考えるためにはどうしたらいいのでしょうか。

次の質問に答えていきましょう。

・今行わなければいけないか?

・相手は本当に助けを必要としているか?

・自分が行わなければいけないか?

・自分の力で相手を助けられそうか?

・自分は過去に似たような親切をしたことがあるか?

これらに対して「YES!」と言うことに加え、

なぜそう言えるのか?

ということにも答えられることが望ましいですね。

混同すると知るだけで変わる

思いと行動は、普段あまりに自然に使いこなしている道具です。

それを疑うことは労力がかかることであり、混同している状態を解きほぐすのは困難でしょう。

しかし混同していると知るだけでも見える景色は変わってきます。

知っていること、それ自体が心強い防壁となるのです。

まとめ

・思いと行動は混同されやすい

・再現性のあることでは有効な枠組み

・しかし親切に再現性はないことが多い

・混同を克服するのは大変だが、知るだけでも効果あり

ではまた!

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