親切はお金で買えません。
売っていないからです。
※詳しくは以下の記事を参照してください。
この記事の最後に「金に糸目をつけなければ親切を開発することができる」という趣旨のことを書きました。
では寄付やボランティアなどの慈善活動は親切と呼べるのでしょうか。
今回は前編。
親切とよく似た「慈善」について考えることで、親切を別の側面から理解していきます。
親切と慈善の違い
では親切と慈善の違いについて、言葉の定義から比較を始めましょう。
親切
最初に親切の定義をします。
いつものgoo先生から。
相手の身になって、その人のために何かをすること。思いやりをもって人のためにつくすこと。また、そのさま。
出典：goo辞書
「相手に尽くすこと」に加えて、しんせつラボでは「相手の役に立つこと」も定義に入れたいところです。
慈善
続いて慈善の定義です。
情けや哀れみをかけること。特に、恵まれない人々や被害にあった人々に経済的な援助をすること。
出典：goo辞書
特徴としては
「他の人よりも困難な状況にある人」
に対して
「経済的な援助をする」
という対象と手段の限定をしています。
共通点
親切と慈善の共通点として相手に尽くすことが挙げられます。
また相手を思いやること、相手の立場に立つことが必要とされる点も同じでしょう。
相違点
「恵まれない人々や被害にあった人々」という対象と
「経済的な援助」という手段の限定が親切との相違点でしょうか。
親切は相手の困り度は特に問題としません。
また経済的な援助が含まれる場合があるものの、親切において金銭の授受は消極的です。
慈善活動の種類
では行動としての親切と比較するために、現実に行なわれている慈善活動について簡単にまとめます。
本記事で取り扱う慈善活動は大きく分けて2つです。
寄付
慈善団体などに個人や企業がお金をあげます。
その資金によって慈善団体が恵まれない人たちをお金や物資で支援するのです。
ボランティア
個人やグループが自主的に慈善活動に参加することです。
活動内容は様々で、厚生労働省の資料によると、以下の通りです。
具体的な活動内容は、「交流・遊び」「話し相手」が多く、
次いで、グループでは、
「配食・会食サービス」「趣味:レクリレー ション活動への支援・指導」、個人では、
出典：厚生労働省 社会・援護局 地域福祉課,「ボランティアについて」, 2007年, https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/12/dl/s1203-5e_0001.pdf, （参照日：2022年01月03日）
「身辺や外出等の直接ケア」「団体・グループの運営、イベントや事業等の企画」。
活動範囲が広く無償ボランティアが多いため、親切とかなり重なる部分も多い活動であることが伺えます。
寄付の特徴
慈善活動の中でも親切との境目が曖昧なボランティアとは対照的に、相違点の多いのが寄付行為です。
違いがあるのは悪いことではありません。
むしろ逆です。
親切ではカバーできないことを行うことができます。
ここでは寄付の特徴を見ていきましょう。
自分の代わりに他の人が働く
寄付をすることによって、寄付者以外の人が働くのが特徴の一つです。
親切であれば相手を助けたいと思った人と働く人は同じになります。
寄付の場合は助けようと思った人はお金や物を出すことによって、誰かに働いてもらって目的を達成します。
間接的にお金や物資を配る
親切をする時には難しかった金品の贈与も簡単にできます。
なぜなら「間接的に配っているから」です。
「困っているなら、これあげます」
「〇〇さんからのお金ですよ」
というのは顔の見える援助です。
顔が見えると、
「なんだか悪いなあ」
「相手に恩返ししないと」
などと思ってしまいます。
間接的に配ることでこうしたデメリットを避けることができます。
皆様の善意による支援です！
これで罪悪感や恥ずかしさを感じる必要が大幅に減らせるでしょう。
常に困った人に寄り添える
寄付を行うことで慈善団体を常設しておくことが可能です。
その場その場でしか行えない親切と違い、いつでも必要な時に困った人を助けることができます。
まとめ
・親切と慈善は違う
・相手を思いやることは同じ
・対象はかなり困っている人で、経済的支援がメイン
・慈善活動の中でも寄付は親切ができないことを実現する
次回は後編。
寄付にスポットを当てて、慈善活動への誤解と本当の問題点について解説します。
ではまた！
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