こんにちは。見習い研究員のHIROです。
親切はいいことです。では親切のためなら、何をしてもいいのか。
今回は親切のために嘘をついていいか考えることによって、親切の本質について理解を深めたいと思います。
嘘は悪いことか
最初に結論をお伝えすると答えは「時と場合による」です。
人は日常的に嘘をついている
そもそも嘘をつくことが良くないというのは本当でしょうか。
「私は嘘なんてついたことはない」
嘘つきの常套句ですね(笑)
みなさん多かれ少なかれ嘘をついている自覚があると思います。
例えば友達から同意を求められたときに「本当は反対の立場なんだけど友達との関係を考えて賛成する」なんてことはよくあることですね。
あるいは細かい事情があるけれども、時間がもったいないので端折って説明する。
他にも子供に説明するときに、大人がわかりやすいよう嘘を交えて説明することがあります。「サンタさんがプレゼントをくれた」とか。
ではこれらの日常的な嘘とついてはいけない嘘の違いとは何なのでしょうか。
比較的に許されない嘘
前提として、あらゆる嘘にはメリットをもたらす可能性があります。
しかし、以下のような嘘は言わば劇薬であり、扱い方には注意が必要です。
人を騙して自分の利益にする嘘
騙して利益を得る人はいいでしょうが、騙された方は許せないでしょう。
また相手や周囲からの報復に加え、罪悪感があなたを苛むこと請け合いです。
結局誰の得にもなりにくいのが、この種類の嘘です。
人を騙すくらいの意思と能力があれば、嘘など使わずとも目的を達成できます。
人を傷つける嘘
故意に相手を傷つける嘘もあまりおすすめしません。
と言うと報復のための嘘はどうなのか、と考える向きもあるでしょう。
ひどいことをされたので仕返しをしたい、嘘をつかれたのでこちらも同じ目に合わせてやりたい。
復讐自体あまりおすすめしませんが、相手に害を与えるために嘘をつくとなるとさらにおすすめできません。
理由は2つ。
まず1つめは相手と同じ土俵に立ってしまうということです。
嫌いな相手と同じことをしても「私とあいつは違う」「この場合は仕方ない」と一生思うことができればいいのですが、人間は賢いので自己矛盾に気づいてしまいます。
その時の嫌悪感に耐えられたらいいのですが、人間は自分が将来抱く感情を予測するのが下手なので、後悔することになりかねません。
2つめは同じことをする必要がないということです。
相手から嫌なことをされたから、こちらも同じことをする。
これのどこに必然性があるのでしょうか。
ゲーム理論では報復の有効性が示されていますが、同じことをせよと勧めているわけではないのです。報復によって相手の行動を変えさせることが、利益を最大化すると言うのが本質です。
こちらが嘘をついて相手を傷つけることで、相手の行動が変わるでしょうか。
ほとんどの場合で相手は余計に反発することになるでしょう。
バレた時に状況が悪化する嘘
ずっと騙せたらいいけれども、バレた時に相手が傷ついたり損害を受けたりする嘘も良くない嘘です。
つまり事実を伝えなかったために、対策することができず、状況が悪化してしまうのですね。
例えば「重い病状を隠し、すぐに治るから大丈夫などと言う」「大変な仕事なのに、やる気を失わせないようにするため、無責任に君ならできるなどと励ます」
相手を思いやる気持ちはいいのですが、結果として相手のデメリットになるような嘘は避けたいものです。
比較的に許される嘘
では反対に許されやすい嘘というのはどういうものなのでしょうか。
バレても害のない嘘
ちょっとトートロジーっぽいですが、嘘による被害がなければ大丈夫です。
例えば間違っていても、大勢に影響しないような小さな事柄や相手の利害に無関係な物事についての嘘ですね。
冗談だとわかる嘘
関係性によりますが「それはないでしょ」というジョークも許されやすい嘘です。
遅刻した時に「宇宙人にさらわれていました」とか、誰かに食事を奢るときに「庭から石油が出たから今日はご馳走するよ」とか。
面白いかどうかは別として、まあ許容される嘘かと考えられます。
メリットの方が大きい嘘
いついかなる時も正直であることが、必ずしも良い結果を生むわけではありません。
例えば相手を庇う嘘です。相手の失敗を隠すことは、組織全体からすると良くないことです。しかしその失敗を公表することによって得られるメリット(例:ミス防止)と庇うことで得られるメリット(例:心理的安全性)を比較して後者が大きいのであれば、嘘をついて庇うことは合理的な選択です。
他には人の行動を促すための嘘。例えば身近なところだと、朝に家族を起こす時「もう◯時だよ」と実際の時間よりもギリギリの時間を言うのです。ちなみに私はやられる方なので、効果は保証します。。
親切のためにつく嘘とは
嘘をついても良い時と悪い時があると言うことがわかってきました。
では親切のための嘘とは一体どんなものなのでしょうか。
嘘そのものが親切になる
これは嘘をつくという行為そのものが人に対する親切になる場合です。
相手の失敗を隠してフォローする、事実を脚色して話をわかりやすくする。
これらは嘘をつくこと自体が、相手のメリットとなり、親切として成立します。
親切を受けてもらいやすくする
世の中には親切を「してもらうと悪いから」と言って受けない人がいます。
気持ちはわかりますが、人の親切は素直に受け取ってもらいたいものです。
そこで嘘をつくことによって、この心理的なバリアーを解除します。
例えば道案内をするのに「途中まで行くから」と言って一緒に行ったり、「次の駅で降りるから」と言って席を譲ったり。
本当かどうか、相手に見分けがつきにくいほど効果的です。
まとめ
嘘も方便。
本来は正直が一番。嘘なんかついても良いことありません。
なぜなら「なぜ本当のことを言わないのか」となるため、こちらに悪意があると誤解されやすくなります。
しかし嘘にメリットがあることも事実。
今回紹介したような親切のための小さな嘘であれば、許される場合もあるのではないでしょうか。
今日はここまで。ではまた。
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